メル姫ちゃん
赤いもようのお皿に
おすわりしたら
ごはんくださいにゃ、のさいそく
でもね、そのたいらなお皿はね
男の子たちがメル姫ちゃんの
特別カリカリごはんをねらってきて
いつものお皿ひっくりかえすから
ごはん用に買ってきたの
ね、メル姫ちゃん
いいんにゃ、ごきげんにゃ🎀♪
『森の若葉』
なつめにしまっておきたいほど
いたいけな孫むすめがうまれた
新緑のころにうまれてきたので
「わかば」という 名をつけた
へたにさわったらこわれそうだ
神も 悪魔も手がつけようもない
小さなあくびと 小さなくさめ
それに小さなしゃっくりもする
君が 年ごろといわれる頃には
も少しいい日本だったらいいが
なにしろいまの日本といったら
あんぽんたんとくるまばかりだ
しょうひちりきで泣きわめいて
それから 小さなおならもする
森の若葉よ 小さなまごむすめ
生れたからはのびずばなるまい
(作詩/金子光晴)
初孫への愛を込めた金子さんの一冊の詩集は、昭和42年に発行された。
森、というのは、戸籍上の姓、「森」家に芽生えた小さないのち、という含みもあるそうだ。
孫娘がお年頃、成人式も過ぎた頃、金子さんが心配した未来はどうなっているだろうか、今はどうなんだろうか。
この詩を読みながら、あるCMがなにかいっていた。
「世の中、バカが多くて疲れません?」
けだるげにこちらをむいて言っている、女優さん。
なんとなくしかわからなかったけれど、そうかも水も大地も疲れてるかも、などと、ふっと、けんとうはずれの感想。時代は高度経済を走っていた。
なのに、乏しさと貧しさを指さされていくようになったのは、それはなんなのだろう。
生まれたからはのびずばなるまい
胸の奥からわいてくるような、このさいごの一行。さきに逝くものが残す、ふかいふかい愛という視線。背中を押されるような、エールが響いてくる。
人生は美しいことだけおぼえていればいい。苦しいことの中に美しさを見つけられればもっといい。……目の前に、佐藤愛子さんの、そんな言葉がひろがっている。
いつのじだいも
きょうもいまも
みらいへつづいている
うまれたのなら
なにかをのこしたいとか
そういうおもいを
いだいたこともあるけれど
いきている
うまれてきた
ということだけで
その瞬間から
しらぬまにのこしていることは
刻々とあり
くって、ねる
そんなまいにちが
とてもだいじで
けんこうなことだとおもう
うちのにゃんこどもたち
おさらいちまいで
そんなにうれしいよね
ごはんもおいしくなるね
むしさんきたら
それはもうだいじけんになるね
ちょっぴりのへんかって
きもちはずむね、なんだか
おかぁちゃんもそうだよ