メル姫ちゃん、きょうは、福岡のお話、思い出だよ。
お賽銭箱にお賽銭をなげいれると、猫の鳴き声がする。という神社。
はるか昔のことだが、行ってみた。
福岡城跡近く、桜で有名な西公園。お花見の名所。
秋だった。
桜並木のながい坂をゆっくりのぼり、のぼりつめると、さらに急な石段がある。
あがっていくと、おおきな神社。
ここだな。狛犬が後ろ向き、変わっているなぁ。
賽銭箱に小銭をいれた。わくわく。
そうそう、メル姫ちゃん、そんな感じだったかわからないけれど、声がする。
もう一度、賽銭箱に小銭。
また、どこからともなく、どうぶつの声。
きゃっ、たのしい。・・・んじゃなくて、ちゃんとお参りしよ。
また、チャリン。うにゃ~。・・・お参り、お参り、集中。
神様にご挨拶のあと、やっぱり気になって、お賽銭箱を、じーっ、とみていたら・・・
「鶴の声ですよ。」
振り向くと、にこにこお顔のお年寄りが立ってあった。
なんだか恥ずかしくなってしまったけれど、私は照れながら、こんにちは、と頭を下げた。
その方は、やさしく笑ってあった。
福岡城は舞鶴城とも呼ぶ。
博多湾のカタチが、鶴の羽を広げたような姿に似ていることから、そう呼ばれている。
よく知られている話。だから、鶴の声になったそうだ。
「鶴に託してお願いごとをして、神様に聞いていただくんですよ。」
にこにこおじいさんは、お話ししてくださった。
そうか。猫じゃなくて、鶴なんだ。
鶴、すごいな。どちらにしても縁起がいいな。
・・・猫じゃないのか←実は、こだわっていたり
また振り返ると、あれ?もう、おられない。
ちゃんと、ありがとうございます、も、まだ言えてないのに。
ありがとうございます。
光雲(てるも)神社。
福岡という地名の名付け親である黒田藩の初代藩主、黒田長政と
その父親、福岡藩祖・黒田如水を祀ってある、由緒ある神社。
なまえも、ふたりの法名から一文字ずつとってつけられたもの。
私ったら、前調べもせずふらりとでかけ、猫にはしゃいで、
あとでよく見渡して、知って、お参りをしなおしさせていただいたものだ。
1985年の夏、スペースシャトルが飛び上がったが、
そのときの宇宙飛行士は、この光雲神社の御守りを持っていた。
日本の護符が、人類初、地球の衛星軌道にのったわけである。
・・・と、ずっとあとで、知ったのであります。
光雲神社を中心に歴史的史跡がいくつも残っている。
太宰府全盛期、船が往来し、文化の交流がおもわれる。
今も、猫のような鶴の声はきこえるそうだ。
あの、やさしいお年寄りはどなただったのだろう。
いずれにせよ、仕事に追われていた秋のひととき、笑顔だけが心に残っている。
記:2015-01-19 2019.6改編