おとうさんと、くろいしましま猫ちゃんのおもいで

すやすやでつばい


うすめあけても爆睡びびちゃん。

書きたいことはあったけれど、そのことはとてもエネルギーを消耗しそうで、きょうは、ともだちと今は亡き父の話をして思い出したこと。


びびちゃんの寝顔みながら、
アメブロでも書いた、ふと思い出したこと。

なんかけはいがするとでつ


ころんだことがきっかけで、動けなくなり、
病院ですっかり寝たきり、
言葉もでなくなり、
いわゆる認知症となった父。

なんかにゅーとでたでつよ


ある日のこと、
看護師さんから
ちいさなキティちゃんをもらった父は、
おぼつかない指で
マジックをにぎりしめると
白いぬいぐるみを黒一色で塗り、
その上にさらに黒く
しまもようをたくさん描いた。

キティちゃんは、
くろいしましま猫ちゃんになった。

父は、よし、という顔をして、
塗ったばかりの猫ちゃんを両手でだいて、
いつまでも見つめ続けている。

うひゃー



看護師さんは、笑った。
母も笑った。
みんな、笑った。

おとうさんのベッドのそばには、
一緒に暮らしていた
猫ちゃんたちの写真がある。

くろいしましま。

十匹をこえる猫ちゃんのほとんどが、
びびちゃんみたいなキジトラちゃん。

あたち?

びびちゃん、なでなでから
もみもみ、こちょこちょになると、
笑うみたいに、怒るよね。

おうちはよかでつよ


おうちにかえろう。

倒れたとき、
母のスカートの裾をつかんで、
父はそう言った。

「おうちにかえろう。」
その言葉だけをくりかえし、
父は天にのぼった。

何度も引っ越し、
いろんな家に住んでいたけれど、
おとうさんが帰りたかった家、
おもいが残る家というのは、
そこでの暮らしへのおもいなのかな。

キジトラちゃんたちが庭にやってきて
子猫がうまれた、避妊だ、病気だ、
などど、母と大騒ぎしながら、
時間さえあれば、かわいかね~、と
みんにゃを眺めていたあの暮らしに
かえっていたのかもしれないな。


私には、犬が好きだった実の父と
猫にまみれていた、もうひとりの父がいます。


介護の毎日は家族を疲弊させます。深呼吸のような出来事でした。光が照り返す花のむこうに、浮かんでは消えていく、父の病床での思い出です。

(写真は、2015年7月)

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