ぼくとメンチカツ。

ぼく、マル。

あさ、おきたら、メンチカツがおいてあった。
ぼくの、だいすきな、メンチカツ。

いいにおい、おいしそう。
マルちゃんのだよ、って、おかぁちゃん、わらっている。


このあいだ、おかぁちゃんのおかあさんがにゅういんして、おかぁちゃんがいそいで、びょういんにいったとき。

よるおそく、おかぁちゃんがかえってきて、すぐごはんたべられるようにって、おとぅちゃんは、メンチカツ、かってきていたんだ。

テーブルにおいていたのを、ぼくがなんども、くんくんして、もっていこうとするから、おとぅちゃんが、「これはマルがすきみたいだよ」って、おかぁちゃんがかえってきて、はなしをして、ぼくにくれたんだ。

おさらにすこし、ぼくは、うれしい、おいしいって、たべたんだよ。

なめるだけなんだけどね。


ぼくは、ぜんそくで、よなかにごほんごほんとせきをして、おかぁちゃんがそのたびにだっこして、なでなでする。

ごはんも、みぃちゃんやびびちゃんみたいにたべないし、このごろねてばかりいるから、おかぁちゃんはいつもしんぱいしているんだ。

だから、たべたいって、ぼくがメンチカツ、ひっぱっていったってきいて、おかぁちゃん、うれしかったんだって。

においをくんくんして、ちょっと、なめるだけなんだけど、メンチカツがそばにあると、いつものかりかりごはんもよくたべるんだ。

そうしたら、きのう、おとぅちゃんがしごとからかえってきて「マルのすきなものかってきたよ!」って。

メンチカツだ。

ぼくは、もうねていたから、マルにあげようね、いっしょにたべるよって、あさまでおいていたんだよ。

じつは、おかぁちゃん、あまりメンチカツたべないのだけど・・・。

うれしかったよ、ぼく。

おとぅちゃんが、かってきてくれた。おしごとにでているとき、おうちにかえってくるとき、ぼくのこと、わすれていないんだ。ぼくのこと、おもいながら、メンチカツかってくれたんだ。

ぼくが、おいしいってとびつくところ、そうぞうしながら、かってくれたんだね。

ぼくは、おもったんだ。

ぼくのこと、おもいだしながら、おかいものしてくれる、おとぅちゃん。どこにいても、ぼくは、かぞくなんだな、いっしょにいるんだなって。

メルちゃんも、みぃちゃんも、びびちゃんも。

そして、かんびょうしてつかれてかえってくるおかぁちゃんをおもいながら、あのひ、おとぅちゃんはメンチカツ、かってきたんだね。



おかぁちゃんは、しんせんなおさかなとか、とりさんのスープとか、ぼくたちのすきのものは、ときどきくれるけれど、いつもは、おかぁちゃんたちがたべるものはくれないんだ。

ねこにメンチカツ、たべさせるのは、よくないかもしれない。でもね、だいじなことは、そうじゃないんだって、ぼくは、おもうよ。

ねこがきらいだったおとうちゃんが、しまちゃんをおうちにいれておこったおとぅちゃんが、ぼくがたべるように、よろこぶように、げんきになあれって、そうおもったことが、そうおもってくれていることが、とてもとても、たいせつなことなんだって、おもう。

 


ぼくの、おにわ。
ぼくは、おにわからきた。
みぃちゃんも、びびちゃんも、しまちゃんも、おにわからきた。
ねこがあんしんして、あそべるおにわ。

だけどもう、かえるおうちがないおともだちが、このおにわにこないように、そんなひを、ぼくは、いのっている。


ぼくたちのおとぅちゃん、ありがとう。

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2014.3 思い出より

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