偉大なる初代猫、あさみ。
猫とはいかなるものかを
教えてくれた。
二度の出産のあと
避妊をした。
約十匹の猫一族
近所の苦情におわれ
あさみといっしょに
何度も引っ越しをした。
あさみといた頃、
博多中洲、人形小路にある
「田(でん)」という
味噌汁で有名な店に
よく食べにいった。
とくに気持ちが疲れると
訪ねていっていた。
若くて、お金もなかった。
開店準備中に
お味噌汁とごはん、いいですか?
と聞くと
ちょっと待っとってね
味噌汁はなんでもよかね。
そう言って大将は
お魚とお漬け物と
これもあるよと
煮付けなども添えてくれた。
支払おうとすると
何百円しかとらなかった。
値段を表示されて
おられなかったけど
場所柄、高かったに違いない。
カウンターをとおして
大将はいろんな人生を
見通して
こられていたかもしれない。
今は食事制限があるので
具は食べるけれど
味噌汁はのめない。
大将のつくった
じゅんさいの味噌汁
大好きだった。
ひんやりとして
雨の音が激しい
こんな日は
大将の味噌汁が
もう一度、食べたい。