ぼく、マル。

ぼくは、おぼえている。

あるひ、おそとでたくさんあそんでかえったら、おうちにはだれもいなかった。なかにもはいれない。いつまでまってもおかあさんたちはかえってこなかった。

おなかがすいて、ぼくはあるきまわっていたけれど、ちいさなときあそびにいって、ごはんをくれたおにわをおもいだした。
おにわにいったら、まどからみていたおばちゃんが、マルちゃん、といってでてきた。

・・・ぼく、マルじゃない。

おばちゃんはごはんをくれた。ぼくは、こわかったからかくれていて、おばちゃんがおうちにはいってからごはんをたべた。
それから、まいにち、おばちゃんのおにわにごはんをたべにいった。おばちゃんがいなくてもおさらにカリカリごはんがいつもおいてあった。
だんだんおばちゃんがそばにいても、ぼくはこわくなくなっていった。
くびわをつけながら、おばちゃんは、おかぁちゃんだよ、っていった。

・・・おかぁちゃん?

ぼくは、おかぁちゃんのあしにあたまをのせてみた。そしたら、いっぱいなでなでをされた。

ぼくは、いつもおかぁちゃんをまつようになり、ぼくがおにわでなくとおかぁちゃんは、すぐにおにわにでてきた。
あさとゆうがた、おかぁちゃんが、マルちゃーん!とよぶから、はしっていくと、ごはんと、おかおやからだをふきふき、ぶらし、なでなで。
おにわには、ふかふかねどこやはうすができて、ぼくはよくねむっていた。

ぼくは、つよかった。けんかにもまけない。おおきなこえでさけぶ。おとこのこのきせつには、だれにもまけないでっかいこえをだして、まちじゅうをはしっていた。

そして、さむいさむいふゆのあさ、ごはんをたべようとしたら、おかぁちゃんがあみのふくろにぼくをいれた。
ぼくはないた。いやだとなきつづけた。

ぼくは、びょういんにつれていかれた。きがつくと、しゅじゅつもおわったみたいだ。おしっこがちだらけで、しばらくびょういんにいたら、おかぁちゃんはなんどもあいにきた。ぼくは、えいずというびょうきなんだって。

びょういんのあと、おかぁちゃんは、ぼくをおうちのなかにいれた。よくわからなくて、なんどもないたら、おかぁちゃんはずっとぼくをだっこしていた。

それから、いっしょう、いっしょにいると、おかぁちゃんは、ぼくにやくそくをした。

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ぼくの絵がある。いちまいのしゃしんから、猫画家、高原鉄男さんがかいてくれた、ぼく。

このときは、まだぼくはおにわでくらしていて、おはなのしゃしんをとっているおかぁちゃんをじっとみていた。
きがついたおかぁちゃんは、わらいながら、ぱちり。

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ぼくは、いま、おかぁちゃんにだっこされて、ねている。

(マルちゃん 2010.1.5保護 2018.10.23永眠)

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