普賢岳大火砕流

ぼくたち、いっしょ。ずっといっしょ。

6月3日。

普賢岳大火砕流から28年目。国内の火山噴火史上においても、報道活動史上も、まれにみる大惨事となりました。


あの日のこと、よく覚えている。


当時、一緒に仕事をしていたデザイナーの親友が火砕流にまきこまれ亡くなられた。後、ある20代のアーティストの展示会へ、このデザイナーさんと取材に行った。

展示会場には、石のようなものが色とりどりに塗られ、数えきれいくらい飾ってあった。
デザイナーさんの顔がみるみる曇っていく。制作物にこのような作品があるとは、デザイナーさんも私も知らなかった。


「火砕流の溶岩です。ひろってきたんです。」満面の笑顔でアーティストは饒舌。


聞いているしかない。外から依頼された仕事だ。クライアントの特集を飾るアーティストだ。 

帰り際、デザイナーさんは石をひとつ手にとり「こんな、あぁ、こんなところに」小さくつぶやいて、目を閉じて。


「めし、食おうか」ふりかえった大先輩、笑ったお顔の瞳だけ、泣いてあられた。


発生から約1カ月後、当時の天皇、皇后両陛下(現在の上皇ご夫妻)が被災地を訪ねて遺族らを励まされ、その後の被災地訪問の原型となった。


午後4時8分。黙祷。

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